なぜ、カーサベッラでは「たかはしたまご」の最高ランク卵を使って、カルボナーラを作るのか。
原価を圧迫する一個あたり200円以上もする卵を、私たちが使う理由。
それは、卵職人である高橋氏と同じ想いで店をやっているから。
味にこだわる方に、
食の安全にこだわる方に、
本物の卵で本物のカルボナーラを届けたい。
逆に言えば、味にこだわらない方、食の安全に無関心な方は来て頂けなくても構わない、そのくらいの覚悟を持って、「食育」とは何かを私たちなりに考え、体現したいその一心で日々研鑽を重ねている。
先日訪れた、たかはし養鶏場。普通は生産性や効率を重視し、窓無し鶏舎に鶏を3〜8段積み重ね、通路幅も狭く空間にビッシリ鶏で埋め尽くす。
しかしながら、大雪で鶏舎が潰れて再建の際も、高橋氏はあえて一段の鶏舎にこだわり建て直した。
なぜか。
それは、無理強いしてストレスフルな環境で卵を産ませても美味しくないから。
いかに鷄に負担をかけずストレスの無い環境と美味しい飼料を与えられるか。ここにとことんこだわり追求し徹底しているのが、たかはしたまごなのである。
高橋氏と話していると痛感する。卵職人であると同時に卵研究家であり卵博士であると。
面白い話を聞いた。
放し飼いの鷄の卵と聞くと耳には聞こえ良く、なんだか美味しい卵のように聞こえる。
外で放し飼いで飼料を与えている鷄と、鶏舎の中で飼料を与えている鶏の卵、果たしてどちらが美味しいか。
実際に食べ比べてみると明らかだそうで、実は外で放し飼いをしている鷄は、決められた餌以外に、土や土に紛れた鶏糞、水を飲み過ぎてしまい、考え抜かれた配分の飼料を完食することができない。
よって、栄養素が偏り放し飼いの鶏の卵の方が美味しくないという結果になるそうだ。
最高ランクの萌味(めぐみ)卵は、コスト度外視で30種類の手作りの飼料を与えた鷄の卵。いわば高橋氏の思い入れの集大成。
気持ちの良い環境で育ち、栄養満点の食事をした親鶏から産まれる卵こそ、最高である。
そう聞くと、私たち子を持つ親の食べるものがいかに大事かということも考えさせられる。
レストランで唯一この卵を使わせていただいているその誇りと高橋氏への敬意を胸に、今日も極上のカルボナーラをお出ししたい。