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月別アーカイブ: 2019年5月

Vol.6 カルボナーラとたかはしたまご

カルボナーラとたかはしたまご Vol.6

【失敗から生まれた人気料理】

カーサベッラがオープンしてからの6ヶ月間、たかはしたまごでカルボナーラ作りを研究していた時に、卵に火を入れすぎて“炒り卵”(スクランブルエッグ)になってしまったことがありました。

カルボナーラが炒り卵になってしまうと大失敗!というイメージが強いのですが、ローマのカンポディフィオーリにあるRistorante Campo di Fiori でカルボナーラを食べた時に、卵が炒り卵になっていました。

すごくびっくりしたのですが、食べてみると、これがびっくりするほど美味しかったのです。カメリエーレに日本人のコックであることを伝え、カルボナーラの炒り卵のことを聞いてみました。

すると、イタリアでは生で卵を食べる習慣がない。だからしゃばしゃばしてるならばちゃんと火を入れた方が衛生的にも良いし、美味しい。生卵はお腹にも良くない。と言っていたことを思い出しました。

確かに炒り卵(スクランブルエッグ)はこれはこれで美味しかったので、アンティパストでお出ししても面白いなと思い、トリュフがあったので一緒に混ぜて食べてみるとまさに絶品でした。卵とトリュフがこんなにも合うなんて!

今となっては、トリュフとたかはしたまごのスクランブルエッグ“Uovo Tartufo”はカーサベッラの人気定番メニューとなっています。

 

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Vol.5 カルボナーラとたかはしたまご

Vol.5 カルボナーラとたかはしたまご

【“究極のカルボナーラ”の誕生】

2014年秋、念願の自分のお店「Hostaria Casa Bella」を遂にオープン。しかし、オープンに至るまで幾度となく「カベ」にぶち当たり、一番大切なたかはしたまごで作るカルボナーラは残念ながらオープンには間に合いませんでした。

やむなくオープン当初は別の卵を使い「王道のカルボナーラ」としてメディアにも登場し、お客様にもご提供していました。実際にこれはこれでなかなかの高評価でした。

その間、約半年に渡り寝ても覚めても、たかはしたまごでカルボナーラを作り続け、ようやくたかはしたまごで作るカルボナーラ、いやこれぞ“究極のカルボナーラ”といっても恥ずかしくない逸品が誕生しました。

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しかしお客様からは、「前のほうが好きだった」「カルボナーラに2,000円も払えない」など率直な意見もたくさんいただきました。その中でも一番印象的だった言葉が、

「普通の卵を使って値段を下げたカルボナーラでいいじゃない」

・・・

???

それは私が決めることだし、それじゃカルボナーラにこだわっている意味がない。

自分なりに理解しようと努めましたが理解できませんでした。

「他にもカルボナーラは食べられる店は五万とありますから、他の安いカルボナーラのお店に行ってもらって構いませんよ」

そうお客様に言ってしまったほどでした。。

Vol.4 カルボナーラとたかはしたまご

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Vol.4 カルボナーラとたかはしたまご

【再び たかはしたまごへ】

たかはしたまごのパンフレットをしっかり読んでなまたまご、卵かけご飯を食べてたかはしたまごの味わいを少し理解した私は一年ぶりにたかはしたまごへ行きました。
今度は言葉遣いにより気をつけて話をしようと心がけました。
高橋さんは私のことを覚えていなかったのかすごく親切に餌について話をしてくれました。

“たまごの美味しさは餌の内容によって決まる。 どうせ家畜が食べるものだから品質基準か甘い事が動物飼料の一般。でも、うちのたまごは人が食べられる事を基準に餌作りに拘っている。ポストハーベストフリーとうもろこしを中心に牡蠣殻、さんご化石、ターメリック、えごま、アルファルファ、そして純良魚粉、その他一般の飼料ではまず使わないと思われる海の幸、山の幸をふんだんに取り込んだ究極のこだわり自家調製飼料。中でも餌の品質に重要な魚粉は釧路産に拘る。魚粉は港で陸揚げしてから加熱加工するまでの鮮度維持が生命線。その意味で漁港最北端釧路産が最適なのです。魚粉の配合は一般的に0〜3パーセント程度、たかはしたまごはこの国産最高品質と言われる釧路産を10パーセント配合している。”
凄い拘りだ。でも何故そこまでする必要があるのですか?
“鶏たちを家族だと思っているからね。勿論休みもないし。子供と一緒だよ。美味しいものを食べさせたいでしょ?最低限のものを子供に与える親はそういないでしょ。昔から比べると卵を取り巻く環境は大きく変わった。たまごを低価格で大量に消費者に提供する美名の元に、大規模な養鶏場からのたまごが大量に流れ込んできます。だけど鶏に対して誰よりも優しく、誰よりも厳しくをモットーにたまごの美味しさを追い求めている。”

私は高橋さんの話を黙って聞いていました。そしていつかこのたまごで日本一美味しいカルボナーラが食べられるイタリア料理店を自分でやろうと強く思いました。

それからは私も仕事で時間を作るのが難しかったですが一年に1回は直接買いに行って高橋さんの話を聞きました。たかはしたまごの拘りは餌に留まらず水、環境、放し飼いのデメリットなど色々と教えてくれました。そのうちに
“君はまた買いに来てくれたのか”
と言ってくれるようになりそしてもう一度私の想いを伝えました。
“自分でお店を持って独立したならば使いなよ。雇われているとたかが卵にこんな値段使わせてくれないのと、生卵意外だと難しいんじゃないか?”
一応買える。独立すれば。いつになるかわからないけど必ず自分のお店を持つ!

そして2014年の秋に念願の自分のお店Hostaria Casa Bellaをオープンさせる事が出来ました。
ですがそこに至るまで、大変な事ばかりでしたが、オープン前に体調を崩し入院する事になってしまいました。